2019年9月に介護施設に入所するまで、認知症の母を在宅で介護しているなかで、過酷だった体験は数限りなくあります。
その中でも2013年頃から始まった失禁は、まだ介護経験の少なかった私にとっては、かなりハードな試練に思えました
ある晩、明らかに母がパジャマを濡らしてしまっていることに気づき、呆然としました。
介護経験をたくさん積んできた今となっては、その程度のことで呆然としている過去の自分に対し、「まだまだ未熟ものだな」という思いこそありますが、当時の私にとっては、「これからどうしたらいいんだろう・・・」という、言いようのない不安に襲われました。
その当時母はまだひとりで入浴していました。翌日私が洗濯しようとすると、母の着替えた下着が見当たらなかったりすることが増え始めました。
タンスの引き出しの中からは、洗ってない下着がたくさん出てきました。濡らしてしまった下着を隠す行為に走っていたようです。
そのことで、私はずいぶん母を責めてしまったことが今となっては悔やまれます。
失禁が始まったころから、ひとりで入浴するのも困難になり始め、翌年2014年からは介護認定を受け、デイサービスなどの介護サービスを受けるようになりました。
他人から見たら、母はもっと早い段階から介護認定を受けるレベルにあったのかもしれません。最初の認定ですでに特養に入れるレベルの、要介護3が出ましたから。
でも、毎日一緒に生活している実の娘にしてみると、母親の認知症の進行を認めたくない気持ちが強く働いて、それが母にはプレッシャーとなっていたかもしれません。