父がまだ生きて家にいた 去年の今頃(2019年7月)の日記を見てみました。
95歳で亡くなる4ヶ月前に当たるこの頃の父は、とにかく身体がつらそうでした。
それまでは、多少疲れてても昼間なら横になることなどなかった人が、日中でもすぐに横になりたがるようになっていました。
特に夜寝てからしばらくすると突如、呼吸が苦しくなり、背中とか身体が急激に熱くなってきたと騒ぎだすので、去年の夏 エアコンはずっと切ることなく24時間フル稼働させていました。
同じ部屋で母も寝ていたので、父の体感に合わせていたら風邪をひいてしまうと思い、比較的涼しい夜は、エアコンを切り窓を開けました。
そんな日でも父は熱さを訴え、氷枕を要求し自分のところにだけ向けて小型扇風機を一晩中回し続けていました。
暑がりの私でさえ肌寒いと思える朝方にも、布団もかけずに扇風機をフル稼働させている父の身体の異変に怖さを覚えました。
それだけではなく、やはり夜間は突然息苦しさに襲われるようで、深夜であろうと朝方であろうと関係なく私は起こされました。
起こされても私ができることは特にないのです。
「少し起きて、扇風機にあたってたら?」
と言うことくらいです。
すると父はいつも自分専用の小型扇風機を持って、キッチンの方へ向かい、電気もつけず、長い間起きて風にあたっていました。
起き上がって風にあたっていると、次第に呼吸は楽になっていくようなのです。
寝室からはその姿が見えたので、私は今でもその姿がくっきり目に焼き付いて離れません。
毎晩毎晩、同じことの繰り返しでした。
原因は心不全がじわじわと悪化していたことにあるのかな、と思いますが、血液検査では炎症の数値もかなり高く出ていて、ドクターとしても入院させるかどうか思い悩んでいる頃でした。
父が苦しくても、私が治してあげられるわけではないから、寝ている私をいちいち起こさないでよ!と 何度も言った覚えがあります。
私は父の他にも、要介護4で認知症の母の介護をしていました。
(母はその年の9月に施設入所しました)
母の介護疲れでもクタクタの状態で、夜は父と母の様子を気にしながらの仮眠しか取れない日々が続き、肉体的にも精神的にもギリギリの状態でした。
でも、
父は私になんとかしてもらいたいと思っていたわけではなく、ただ不安でいっぱいだったから、ひとりでは抱えきれないほどの恐怖だったから、とにかく私を起こしてしまったんだろうな、と思います。
それは私もわかってはいました。
少しでも私に気持ちの余裕がある時には、父の不調に付き合って、一緒に起きて背中をさすってあげたことも多々あります。
その方が、父の息苦しさの回復も確実に早かったように思います。
今思うと、悔やんでも悔やみきれませんが、毎回そんなふうに父に優しくしてあげられる余裕は、体力的にも精神的にも、当時の私にはありませんでした。
去年の今頃は、物凄い状況の最中にあったけれど、家族4人揃っての暮らしはまだあったんだな、と思うと、泣きたいほどに あの頃に戻りたい。