2022年6月。最愛の母が96歳で亡くなり一年が経ちます。
母は認知症を発症し徐々に体力も衰え、約9年ほどの在宅介護の後、介護施設に2年と7ヶ月いて最期を迎えました。
看取りに入ってからも、母は施設で穏やかに過ごしてくれました。
亡くなる当日もほんの少しだけゼリー食を口にし、その後ウトウトとまどろんでいるうちに、眠るように命の炎を燃やし尽くした母。
葬儀は家族葬でお願いしましたが、母の亡骸は一般葬用の安置室を使わせていただくことができました。
安置室まで運ばれる間、私達兄妹は一般葬儀場の広い正面玄関に面したロビーの椅子に座り、ほんの数分待たされたのです。
ロビーには私達兄妹以外誰もいません。
午後の4時前でしたがしーんと静まり返っていたその場で、母が亡くなった動揺を心に残しながらも、私は視線の先にある自動ドアの外側の景色をぼんやり眺めていました。
すると突然、自動ドアがすーっと開き、そして、すーっと閉まりました。
誰もいないのに。
ビックリして隣にいた兄の方を見ると
今のなにっ !?
と やはり驚いた様子。
葬儀場で幽霊現象!?
そんなふうに考えると怖くもなりますが、兄も私もそのときは、先に逝った父が見守りにきてくれたんだ!と直感したのです。
緊張した心の糸が緩むような、なにか温かい安心感を覚えたからです。
気になったのでそのような現象について調べてみたところ、科学的に考えるなら、センサーの汚れなどが原因で、人がいなくても自動ドアが勝手に開くようなことは起こるらしいのです。
たしかに、そういうことも考えられるなぁと思いつつも、あのタイミングでたまたまそんな珍しい現象が起こるなんて、単なる偶然として片付けるのは惜しい気がしてしまいます。
業界用語としても、このような現象を「幽霊現象」と呼ぶらしいですよ。
ま。幽霊が原因だと判断しているわけではないでしょうけど。。
でも、このときに限っては、私は信じたいと思った。
これからを安心して力強く生きるためにも信じたい。
きっと父がきてくれたんだ。
お母さんのことは助けて守ってあげるから。
心配しなくても、大丈夫だよ。
父からのそんな想いが届いたような気がするから。